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2007.07.01 (Sun)

アメリカひじき・火垂るの墓

作: 野坂昭如

<収録作品>
 1.火垂るの墓
 2.アメリカひじき
 3.焼土層
 4.死児を育てる
 5.ラ・クンパルシータ
 6.プアボーイ

 「戦中・戦後」を生き抜いた、あるいは生き抜けなかった少年少女達を主人公に描いた短編集。
 全体的に一本調子の文体でまとめ上げられていて、その技量には感嘆するものの、他人を寄せ付けない風がある。私には難解。

<火垂るの墓>
 映画を観たのは幼稚園生の頃だったかと思う。私がというよりは、父が『となりのトトロ』を観たかったらしく、私をだしに映画館まで連れて行ったのだが、その際同時上映されていたのが『火垂るの墓』だったはず。
 昔の映画館はいつ入場するのも自由だったし、いつ退場するのも自由だったような気がするので、映画を観た順番もあてにならないのかもしれない。とりあえず私が観た時は、『火垂るの墓』が最初で、『となりのトトロ』がその次だった。『トトロ』観るつもりで『火垂る』が始まったものだから、当時の私には何が何だかわからず、意味はわからないまでも号泣で、「せっちゃんかわいそう、かわいそう」と思ったものだ。
 それ以来、映画は観ていない。あまりにも切なかった当時の印象が今でも強すぎて、もう一度観たいとはどうしても思えないでいる。
 そんな私だから、原作を読んで「詐欺だろう」と最初に思った。……泣けない。流暢すぎて、頭の悪い私には取っつきにくい文体だということもある。それよりも、この作者は感激や同情を求めているのではなく、ただ、ありのままをありのままに、書いたのだろうと思えた。それも、さらりと流す独特の語り口で。
 先だって蛍が飛ぶのを観てきた。蛍の光は人の魂の光だというけれども、あの妖艶な光を見ていると、ふむ、さもありなん、と思えてくるから不思議。

<アメリカひじき>
 『火垂るの墓』に比べれば、はるかに『アメリカひじき』の方が私は好きかもしれない。(かなり大人向けな作品だが)
 妻子が海外で知り合ったというアメリカ人夫妻が日本に来て自分の家に滞在する。そのアメリカ人夫妻がかなり図々しく家に居座る。そんなシチュエーションを、アメリカ軍が日本にどかんと腰を降ろして占領した戦後の情景と重ね合わせるように物語が進行する。
 表題の「アメリカひじき」は、食うに困っていた戦後の混乱期に、猫ばばしてしまったアメリカの物資の中に入っていた“紅茶”を“ひじき”と間違えたというエピソードで最後が締めくくられるのに由来している。紅茶の存在を知らなかった当時の主人公の母親が、煮出しても煮出しても灰汁が出る・・・と何度も灰汁抜きを繰り返して食卓に並べたその紅茶。当然ながら食べられた代物ではなかった、という苦い思い出話。
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テーマ : 読書感想文 - ジャンル : 小説・文学

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2007.07.29 (Sun)

僕の生きる道

作: 橋部敦子

 相変わらず情報の遅い私、今頃になって、“小説”を手にして号泣。

 平凡に生きることを望んでいた高校教師に、ある日突然、死の宣告。残された余生を精一杯生きることを決意したその「生き方」が、周囲を巻き込んで変えていく物語。

 あたしだったらこんな生き方できないなぁ・・・。

 あと一年、と宣告されて、教師なんて続けられるかな。たぶん、続けられないと思う。中村先生みたいに、前向きに気持ちを切り替える前に、一年を過ごしちゃうんじゃないかしらん。
 作品の端々にあるセリフがいい。ちょっとクサいけど。
 それにしても、残された時間を精一杯生き抜こうともがいた中村先生の姿は、少し、切ない。
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